あたしは籟様を森中走り回って探した
けど、どこにもいなかった。
(諦めません。あたしは必ずや人間になって見せます。そのためには人間の言葉を話さなければなりません。)
あたしはその日から人間に近づき始めた
人間の会話をきき話せるように何度も何度も、皆に隠れて練習した
皆が狩りに行っている間
皆が寝静まっている間
とにかく皆が隙を見せた時にあたしは練習をした
時々、擂が不審に思って話しかけてくる
あたしは平静を装って何もなかったように交わす
皆に見つからないように
皆にバレないよう演技したり
皆の気配がわかるよう
いつもあたしは神経を研ぎらせていた
そんな中であたしはずっと必死に努力した
「……あたし…、人間……なる。」
あたしがやっと話せるようになったのは
11度目の春のことだった。



