山縣さんの前でそんなことはしたくない
…鶫が照れる顔を見せたくはない
「今日一日中追っかけっこしたのか?」
手で鶫を招くと俺の膝の上に座らせ後ろから抱き締めた
「ううん。以蔵さんに早く会いたいから急いで走ってきたんです。えへへ。」
はにかむように照れる鶫
なんでこんなに鶫は可愛いのだろう
「はぁ。ったく、いきなり走るからこっちは驚いたんだぞ?」
「ごめんなさい、兄様。」
しゅんとして山縣さんに謝る鶫
山縣さんと鶫は血の繋がった兄妹ではない
ただ、山縣さんがそう呼べと鶫に言ったから
鶫はあまり人懐こい性格ではない
だから、好き嫌いがはっきり別れる
俺にとっては嬉しいんだが、
山縣さんに懐くのはやめてほしい
ただのヤキモチ
俺以外に懐いてるのは、山縣さんくらい
武市先生は怖いから少し苦手なんだとか
「ったく、ほら鶫下に降りるぞ。」
山縣さんはそう行って鶫を連れて行こうとする
俺はなんとなく行かせたくなかったから鶫をぎゅうときつく抱き締めた



