「分かったか?」
「あぁ。ありがとな」
「…お前が礼を言うとは明日は雪が降りそうだよ。」
「…っ、うっせ。帰れ。」
「はいはい。」
俺は半ば強制的に伊藤を追い出した
「思ったこと…か。」
俺はもう一度、紙を取り出し筆を動かした
今度はスラスラと書ける
が
俺は何か不吉な予感を感じた為、今書いてる紙を再びくしゃくしゃに丸め投げ捨てた
俺は大抵何か悪い予感が起きる前、それを感じ取ることができる
なんとなく、虫の知らせってやつ。
再び新しい紙を取り出し筆を走らせた
後悔しないよう
一文字一文字を丹念に込めて書いた
書き終わり俺は一通り黙読する
「…こんなもんでいい。」
確認が終わると同時に勢いよく扉が開けられた
俺は咄嗟に懐に急いで入れた
「以蔵さん、ただいまです!」
「おかえり。」
平静を装って鶫に接する
文は今度慎太郎あたりにでも鶫に渡してもらおうか
「…はぁ、はぁ。鶫、待て…。」
鶫に続いて息が切れてる山縣さんも来た
「何かあったのか?」
「んー?兄様と追っかけっこしてきました。」
首を傾げて不思議そうにそう答える鶫は可愛いかった
今にでもここで抱き締めたいくらいに