「…泣き虫やな。」
「泣き虫…じゃないです。」
「嘘つかんでも…ええんで?」
「……泣き虫なの認めます。」
「…結局泣き虫なんか。」
「はい。以蔵さんと少し離れただけでも泣いてしまったんですから。」
あたしは山崎さんに微笑んだ
その時あたしにしか聞こえない音がピーっと聞こえた
もう手当て終わったのかな?
だったらもう行かなくちゃ
「山崎さん。あたしはもう行きますね」
「…行くな、ゆうても行くんか?」
「えぇ。勿論です。」
「……ほんならええ。行きや。」
「え…」
随分とあっさりと言うから拍子抜けた
「行くんやろ?」
「…はい。」
「行ってもええが、長生きするんや。」
言えない
あたしがあともう1年しか生きられないなんて
「……はい。」
ごめんなさい、山崎さん。
最後の最後に嘘ついて
「早う、行き。」
「はい…!」
あたしは山崎さんから立ち上がって少し離れた
「今までお世話になりました。山崎さん、あたしのことは鈴ではなく『鶫』と呼んで下さい。」
「…鶫か?」
「はい。では、さようなら!」
あたしはその場を急いで立ち去った
残された山崎達は決して鶫を追いかけることなくただ立ち去った後を眺めていた



