会いたい。~それは2度と叶わない願い~


「森の中に…小さな狼がおるんや。…その狼は…怪我しててな。…三人の…男の子の…童が、助けてん。」


「…はい。」


もしかしたら籟様が山崎さんにあたしの記憶を夢で見させたのかもしれない


「三人のうちの…1人が、狼を…『鈴鶫』と、名付けた…んや。」


「…っはい。」


「…なぁ?…摩訶不思議やろ?」


ははっ、山崎さんは笑った


「…そうですね。不思議です。」


あたしは山崎さんに笑いかけた


「…鈴。俺に歌ってくれへん…?」


「え?」


「…歌。上手いん…やろ?俺に歌って…くれへん?」


「駄目です。もう、あたしは歌いません。あたしのこの歌は以蔵さんだけのものですから。次、以蔵さんに会った時のためにとっておきます。」


「手厳しい…なぁ。…っう。」


「もう喋らない方がいいですよ。傷にさわります。」


あたしは山崎さんの口元に手を置いた


「あたしはこれから、ある人のところへと行きます。その方は大切な人の大切な人なんです。その方を守りに行かなければなりません。」


「…鈴。」


「だから、これでお別れです。」


「…2度とか?」


「はい。…本当は助けてもらった恩を返さなければならないのですが、それはもう出来ないと悟ったので。」


「…なんでや?敵…なんやろ?そんな俺ら新選組…に恩を…返さなあかんの?」


山崎さんはあたしが逃げないようにしっかりと腕を掴んだ