「はぁ…、はぁ…っ、はぁ…っっ。」


新選組から抜け出してあたしはただ走った


誰にも見つからないように走り続けた


「…ここどこ?」


無我夢中で走り回ってたら奥深い森の中へ迷い混んでしまった


空を見上げるとあたりはもう日が落ちようとしてた


あたしはこれ以上走るのをやめて何処か野宿出来そうなところを探した


ガサ

ガサ


聞こえるのはあたしが落ち葉を踏みつける音とあたしの呼吸する音だけ


普段なら怖くてびくびく怯えてただろう


だが、今のあたしは怯えすらの感情が湧き上がらない


あの日のように1人ぼっちになって悲しかった


「…っぐす。これは、罰…なんですね。先生に教えてもらった意味が今ようやく分かりましたよ。」


あたしと以蔵さんが一緒に仕事するようになった最初の頃先生はあたし達に釘をさすように言ったことを思い出した


ー『以蔵に鶫よくお聞き。私たちはこれから沢山の人を殺すと思います。けど、必要以上に殺してはなりませんよ。』


そう先生が行ったことに関してあたしはこう答えたんだっけ


『悪い人でも殺しては駄目なのですか?』


『ええ。まぁ、時と場合にもよりますけどね。いいですか?誰かを斬れば誰かが悲しむ。人を斬ればその分人と人との縁がなくなりますよ。そのことを肝に銘じてしなさい。いいですか?』ー





先生は言っていたんだ