「え?」
あたしは驚いて隊士を見た
「お静かにお願いします。」
表情も声も変わった隊士は何処か見たことがあった
「…っ、椋さ…ん?」
「はい。」
「…でもなんで、」
「話は後です。黙ってついてきて下さい。あ、これは貴方のでしょう?」
そう言ってそっとあたしの手のひらにおいたのは伊東さんがくれた板紅と小さな筆だった
あたしはそれを巾着の中にそっと入れた
「走りますよ。」
そう言って何処か取り出した草履をあたしに履かせ、庭に出た
すると椋さんはあたしの手をとって走り出した
走って辿り着いたのはあたしがいつも稽古場所として使ってた誰もこない場所だった



