西本願寺の中へどんどん進む
腕を振り解こうと思っても、まだ出てくる涙に気を取られて力が出ない
山崎さんはピタリと一つの部屋の前で止まった
「副長、山崎です。」
「入れ。」
「はい。失礼します。」
山崎さんは何の躊躇いもなく部屋の中に入った
「副長、鈴を捕らえました。」
部屋に入るなりあたしを突き飛ばした
当然いきなりだったので尻餅をついてしまった
「…っ!お前この三日間どこに行ってたんだ?!」
あたしの両肩を掴み凄い形相で睨んでくる土方さん
「…っごめんなさい。」
「どれだけ心配したか…。はぁ…ったく。今までどこに行ってたんだ?」
「…言えません」
もう『嘘』はつけない
もう『記憶喪失のフリ』はやめる
あたしにはやることがある
そのために必要だから
ここを抜け出さないと
あたしは涙を拭って土方さんを見た
「…男と逢い引き、か。」
「へ…?」
覚悟を決めてどう動こうか考えてたらのに土方さんの質問で拍子抜けしてしまった
「その赤い印見れば分かる」
あたしはそっと首元に手を添えた
ここにも付けてたんだ



