分かったとしても俺は信じられなかった
こんな少し小さくて細い女が強いと言い切れるだろうか
認めたくなくて目を逸らしていた
けど、中岡さんの看病から逃げ出した鶫を追いかけて以来
あの噂は本当なんだと認めた
鶫の身体に刻まれた傷はとてもじゃないけど綺麗な肌ではなかった
所々に傷はあるし
酷い所には痣まで作ってた
それをとても誇らしげに俺に見せていた
誇らしげに見せる傷って大抵何かを守ったと胸を張れる時
それと同じように鶫は誇らしげに自慢げに俺に見せてきた
今日だって中岡さんが亡くなった時はとても狂ってはいたけど、
そのあと何か心に決めたように顔が清々しくなってた
「失礼します。」
「…なんだ?」
1人鶫のことを考えてぼーっとしていたらいきなり誰か部屋の中に入ってきて驚いた
「坂本さんたちの亡骸は既に埋めててよろしかったのですか?」
「あぁ。」
俺と鶫が出ている間に坂本さんたちの亡骸を埋めてもらった
そうでもしないと鶫が立ち直っても立ち直らなくても悲しむと思ったから
大切な人の亡骸を見るのは辛いと思ったから



