ザァァー
いつの間にか降ってきた雨
雨が好きなのに
今日の雨は嫌い
そんな雨はあたしの体を容赦なく打ち付ける
「おい。何逃げてんだ。」
「…干城、さん。」
あたしはもう何も考えられないような目で干城さんを見る
パンッ
干城さんを見たかと思うと今度は頬に痛みが走った
「馬鹿野郎っ!!何逃げてんだよ!」
周りに人もいるのに干城さんはあたしに怒鳴る
怒鳴ったかと思うと今度はあたしの手を引っ張って雨も通らない裏路地へと連れ込まれた
ドンッとあたしは干城さんと壁に挟まれた
「何考えてんだてめぇは!」
「…っ。」
「怖いのはお前だけじゃない。俺だって怖い。誰だって人の死は怖いんだ!分かるか?中岡さんだって怖いんだぞ?」
そう言ってあたしから少し離れあたしの手を握った
「怖いのは1人じゃない。俺だって、中岡さんだって、他に怪我してるやつだって、必死に看病してるやつらだって怖いんだ。1人じゃない。皆いる。」
「…っ。」
「おい、すぐ泣こうとすんじゃねぇ。」
コツンとあたしの頭を軽く小突く
「…ぐす。…はい。」
「おし。それでこそだ。頬ごめんな、痛かったろ?」
「いえ、このくらい大丈夫ですよ。」
「そうか。帰ったら、冷やしとけよ。痕が残ると駄目だからな。」
と、干城さんはあたしの頬を触りながら言った
「痕?別に大丈夫ですよ。切り傷の痕だって残ってますし。」
そう言ってあたしは袖をまくった
まくると今まで付けてきた切り傷が微かに残ってる



