「…今は、愛次郎さんがいた新選組にお世話になってます…。愛次郎さんには悪いけどあたしは__」


バギッ


「…っ!」


後ろの方で音がして思わず後ろを振り向いた


そこにいたのは気まずそうに笑う山崎さんの姿かあった


すぐさま持ってきたおにぎりが二つ入った包みを二つ置く


そのあとあたしは立ち上がって山崎さんの方に走った


涙を拭いながら


変に勘付かれないように。


「山崎さんっ!」


彼の名前を呼ぶ


「…すまへん。後を追うつもりじゃ、」


「山崎さん帰りましょう。山崎さんがいてくれて助かりました。帰り道は迷い子になりそうなので。」


山崎さんの言葉を遮り、そう誤魔化した


「…あぁ。」


山崎さんは納得したのか何も聞いてこなかった



「コレ、食べ損ねたので山崎さんお一つどうぞ。」


なるべく沈黙にならないよう、話しかける


「ありがとな。」


山崎さんはそれを受け取って一口齧った


あたしもおにぎりを手に取り一口齧った