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8月に入るある日のこと
「あっつぅ…」
扇子で仰いでも一行に涼しくはならない
「…水、飲みに行くか。」
俺は暑さのため着崩した着流しを直し、勝手場へと向かった
勝手場が近くなると、何やらいい匂いがする
「…なんや、この匂い。」
朝餉は食ったばかりやろ?
一体誰が…
俺は勝手場へ急ぎ、こっそり覗いた
「鈴?」
「…っ!や、山崎さん?」
鈴が何やら料理をしていた
「何してんのや?」
「おにぎり、作ってます。」
鈴はおにぎりを俺に見せた
形が崩れたおにぎりが鈴の手に握られてあった
「…今日はいい天気なので、1人で外出しようかと思いまして。」
「局長と副長には許可はもらったんか?」
「はい。お前は働きすぎだから、たまには出かけて来い。っと、逆に強制的に許可をいただきました。」
「そうなんやな。」
鈴ははいと、小さく返事をすると再びおにぎりを握り出した。



