「どうしたのかしら?」
「伊東さん…。」
「あらあら。髪飾りが粉々になってしまったのね。おいで。」
伊東さんは腕を広げる
あたしはその胸の中に飛び込む
「本当、あなたは娘みたいよ。」
優しく女口調な伊東さんだけど、男っぽい声であたしを落ち着かせる
泣かない
泣かないと、決めたんですから。
「泣きたい時は我慢しなくてもいいのよ。」
「…泣きません。」
「そう。だけど、本当に辛い時は泣いていいからね。分かった?」
「はい。ありがとうございます。」
あたしは伊東さんから離れた
「私は用事があるからこれで失礼するわ。また用があれば行くから。」
「はい。」
あたしは伊東さんに頭を下げた
伊東さんがいなくなったと思い顔をあげ、背伸びをした
「ぅーん!」
頬を叩いて気合いを入れた。
粉々になっても髪飾りがある限り、あたしは大丈夫。
髪飾りをみれば以蔵さんが生きていると思えるのだから…



