髪飾りが折れてしまったのは、本当に嫌だった。
だけど、物なんだから壊れるのは当たり前。
そう、先生に教わったのも思い出した。
「あとで、冷たくしたので藤堂さんに謝らないといけませんね。」
藤堂さんのこと許した訳ではない。
壊れたものはもう直らないのだから、いくらあたしが藤堂さんに起こったとしても髪飾りはもう直らないから。
怒っても無駄だから。
ガラ
「鈴、持ってきた。」
「ありがとうございます。」
巾着を持ってきてくれた山崎さんが部屋に再び入ってきた。
あたしは巾着を受け取り、その中に折れた髪飾りを入れた