あたしは急いでその髪飾りをとろうとしゃがんだ。


「ぁ、…あ……」


髪飾りは折れて真っ二つになってしまった


「わりぃ…!ごめんな、鈴__…」


パンッと乾いた音が響いた。


「触らないで下さい。」


あたしに向かって伸びた藤堂さん手をあたしが払いのけた音だ。


「…ごめん。」


「……」


「謝って済む問題じゃないと思うけど…、本当にごめんなさい!」


「……」


「今度新しいの買って来る、」


「この髪飾りの代わりなんてないです。この髪飾りはたった一つだけの特別な物なのですから。」


あたしは謝る藤堂さんに言い放った


「…ごめん。」


「もう、部屋から出て下さい。」


あたしは藤堂さんから顔を背けた


最後にもう一度藤堂さんは「ごめん」と言うと部屋から出てった。


「……っぐす。…ふぇ、…っう。」


1人になった途端涙がこぼれ落ちた


唯一の以蔵さんからくれたものなのに


今まで以蔵さんと思って、この髪飾りを大事に大事にしてきたのに


こんなにあっけなく壊れるとは思いもしなかった