ガラ


小さい戸を開け外の景色を眺める


目の前に桜が満開な木々が生い茂っていた


風が一つふくと
その風にのって桜の香りがあたしの鼻をくすぐらせる。


「もう、4月なのですね…」


いつの間にか季節は変わり、
冬から春へと変わって行った


ー『鈴、来年はここのさくらを見に行こうか。ここの河原は春になると桜の木が満開になって綺麗だ。な?約束だ。』ー


目を瞑らなくても不意に以蔵さんと過ごした思い出が昨日の出来事だったかのように流れてくる


「…っ、だ、駄目です。悲しくなっては。まだ、亡くなってなどいないのですから…」


思い出せば思い出すほどあたしはなみだが出てきそうになる。