あの時以来です。
母様に散歩していいか、と思い切って告げたこと以来です。
大きな声で決断すると、いうことはここ最近…
いや、あの日以来してないように思えます。
それがなんだか嬉しいような、嫌なような、とにかく複雑な感情があたしの心をくすぐる。
「クス。では、それで決まりですわね。…と、いうことですので、山崎さんは部屋から出てもらえないかしら。」
「…分かりました。失礼しました。」
山崎さんはあたしをチラリとみると、部屋から出てった。
「ふーっ…。邪魔者はいなくなりましたね」
「伊東さん、ありがとうございます。」
「いいですよ。さて、お話ししましょうか。鈴さんに、色んな事を聞かせてあげますから」
「はい…っ!」
嬉しい。
伊東さんと急に距離が縮まったような気がして嬉しかった。
それから伊東さんにあたしの知らない事まで教えてくれた
少しだけ
皆さんについた『嘘』
のことで悩んでたモヤモヤが薄れていくような気がしてきた