「…ふぅ。」


誰にも見つからずに、気配を消しながら来た


「今夜は三日月ですね…」


今夜は三日月が出ていた


あたしは三日月よりもまん丸な満月の方が好き


「…以蔵さん。」


あたしは髪飾りを握りしめながら呟いた


以蔵さんをどうやって救えばいいのだろう


幕府を潰すにはどうやればいいのだろう


分からない


これからだってどうしよう。


ずっとここに居座るはできない


いつかはここから出ていかないといけない

だけど、次はどこで生活すればいいのだろう


図々しいけど、見つかるまでここにいて『嘘』を隠し通そう


そのためにはまずは味方を見つけなければ。


山縣さんが言ってたような気がする


ー『敵を崩すには、まずは有力な味方をつけろ。ただし、誰でも言い訳ではない。同じ考えを持つ人だ。信頼はするな。信じるのはお前自身だ。』ー


山縣さんからの兵法はとてもためになるし、役立つ


山縣さんの忠告と教えを守り、誰を味方に付ければいいのだろう…


沖田さん?

…は駄目。


山南さん?

…も、駄目


「…っ。」


どの人もイマイチ信用ができない


「おや、何故女がいるのかしら。」


「……っ!」


考え込んでたら周りの気配に気が回らなくて後ろから声が聞こえた


あたしは振り向く