「では、食べるとしようか。いただきます。」
近藤さんの合図で俺たちは食べ始める
「食べながらでいい。聞いてくれ」
副長が真剣な眼差しで話出した
「見廻組の連中が俺たちに松平様を通じて人探しを頼んできた。」
そう告げる副長はあからさま嫌そうに話出した
それは無理もない
俺たち新選組と見廻組ははっきり言って仲が悪い。
「人探しですかー?ゴホ、全くいらない仕事なんか、ゴホッ、持ってきますね」
「断るにしろ断れないからな。なんせ、松平様に頼まれたら断れねぇことをいいことに…ッチ。つか、総司はまだ風邪引いてるんだから、そろそろ医者に見てもらえ。」
「えー、僕は至って健康ですけどねー、…ゴホゴホッ。」
「嘘つけ。斎藤、悪りぃが総司を連れて行け。」
「はい、承知しました。ほら、総司行くぞ。」
「えーっ…、嫌ですよ。」
「いいから。」
無理やり連れて行かれた沖田さんは、部屋を出る前副長を睨んでいた
沖田さんと斎藤さんがいなくなると、副長は溜息をついた
「近藤さんからも、総司に何か言ってやってくれ。じゃないと、あいつは風邪が悪化しちまう。」
「そうだな。分かった。後で説得してみようか。」
「 なぁ、土方さん。」
「なんだ、平助。」
「人探し…って、誰なんだ?」
「鈴鶫って言う女だそうだ。特徴は歌声らしい。」
鈴鶫…
歌声…
もしかして、今日見廻組の1人が俺に頼んできた人のことか?