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「人が多いな。」
「そうですね。」
昼時の町は人で溢れていた
「腹、減ったな。飯食うか?」
「はい。」
「何が食べたい?」
俺はなるべく『鈴』って呼ばないよう気をつけた
好きな人が怯えてる表情なんて見たくないからな
「そうですね、おにぎりと魚…とかですか?」
「駄目だ、それ以外で。」
「なら、…蕎麦がいいです。」
「蕎麦か…、いいな。よし、食いに行くか。」
俺は鈴の手をどさくさに紛れて繋いだ
「…あの、手……」
困ったように鈴は俺に言う
「はぐれたら困るだろう?」
「…っ、はい。」
照れたように顔を背ける鈴に心が暖かくなった
もしかして…
いや、そんなことはないか
「ここから近いからな。すぐ、食べられるから。」
「楽しみです。」
俺は鈴を引っ張るようにして先を歩く
鈴は必死に俺についてくる
まるで恋仲みたいで凄く嬉しかった



