「鶫、分かってると思うが元の姿には戻れんぞ」
「分かってます。」
狼であるあたしを捨てる覚悟はもう昔にしてきたから
以蔵さんが隣にいない今も、後悔なんてしてない
「なら、いい。あやつは、今牢におる」
「牢…?」
「そうじゃ。あやつは沢山の罪を犯しての。もちろん、お前もじゃ鶫。」
「あたしも?」
「沢山の人間を殺してきただろう?」
「……」
「あの中に殺すと罪が重くなる人間が数人いたんじゃ。知らんことはあるまい」
全部が全部知らなかった訳じゃない
以蔵さんと先生が仕事について話しているのを何度も聞いた
だから、殺すと罪の重い人間を殺してきたことも分かってる
だけど、
あたしは命じられたことに断れない
以蔵さんもあたしと同じだと思う