ピチャピチャ


刀から血が垂れる音が聞こえる


それに


「うぉーーー!」


人が叫ぶ声


「ぎゃぁぁぁ!」


悲鳴の声


それに


ゴォォォ


御所が焼ける音も聞こえる


どのくらい人を殺しただろう。


あたりをみると血の海、火の海だった


その中であたしとあたしの目の前にいるヒトは立っていた


「……」


カチャ


あたしは刀を握り直した


所々切り傷があったり、火傷したりでカラダ中痛かったけど、そんな事どうでもいい


目の前にいるヒトを殺さなければ


「はぁぁ!」


あたしはヒトたちに向かって刀を振り上げた


カキン


「いくらここで俺らと斬り合いになろうが、あいつらはこねぇよ。助けにこねぇんだよ!」


以蔵さんたちが捕らえられているところをそいつは見たのか言ってくる


「来ます!絶対に絶対に!あの人は…以蔵さんは、絶対に置いて行ったりしない!」


認めたくなくて
認めたくなくて


あたしは言う


以蔵さんはどこにももう行かない


あたしを置いていったりなんか


「お前も見ただろ?あの男は捕らわれて行くところ…。ぐわぁぁ!」


「うるさい、うるさいうるさいうるさいうるさい!」


「ぎゃぁぁぁ!」


あたしはまた血に染まって行く


あたりをまた見渡す


この中に立っているのはあたしただ一人だけだった


チリンチリン


風が吹いて頭につけている髪飾りが揺れた


あたしははっと我に返った