「この前、俺がここを見つけたんだ。」
「凄いです、以蔵さん。連れてきてくださりありがとうございます!」
「あまり大きな声出すなよ?近くに新撰組の屯所があるから。」
新撰組の名前を聞いた途端あたしは口に手をやった
「綺麗ですね。」
大きくならないように声を少し押し殺す
「あぁ。」
「……」
「……」
あたし達は無言であたりを眺めた
「鶫。」
「はい、なんですか?」
不意に名前を呼ばれて以蔵さんの方を向けば、真面目な顔でこちらを見ていた
「い、一度しか言わないからよく聞けよ?」
「しっかり聞きます」
「……だ。」
「え?」
「もう言わない。」
「聞こえませんでしたので、もう一度……………っ。」
視界が真っ暗になった
以蔵さんに抱きしめられていると分かるのに少し時間がかかった
「最後だぞ。」
耳へと以蔵さんは寄せる
「…お前のことが好きだ。」
甘くて熱くて低い声
そんな以蔵さんの声があたしの耳元でそっと囁かれた



