その人間は手を差し伸べてくれるはずもなく
「大丈夫?」と声はかけてはくれなかった
あぐりちゃんと暮らし始めて
人間は優しいと見直した
だけど、
この人間は違う。
あたしが嫌いな人間。
父様を殺した人間の目にそっくり。
殺すような目をしてる
「聞こえなかった?邪魔。」
「………」
怖い、
だけど、怖いけど、
この声が落ち着く。
あたし可笑しいのかな
「…助けて。いーくん…」
「…っ。な、何を言ってる。」
「いーくん…、助けて。」
あたしはどこにいるかも分からないいーくんの名前をひたすら口に出した。
「…ッチ。」
その人間はさっさとその場からたち去った
「いーくん…」
苦しい
なんだか目が霞む
「おい。」
「…え。」
気付けばさっきの人間が戻ってきて、あたしに何かを差し出した
「やる。だから、泣くな。」
そう言って人間はあたしを起こしてくれた



