寵愛の姫 Ⅱ【完】





「どうした?」


「…駄目だよ。」


「駄目?」



何がだ?



首を捻る俺から莉茉が目線を逸らす。



「…大雅さんが…。」


「…………大雅?」



――――どうして、この場面で大雅なんだよ。




莉茉の口から他の男の名前が出た途端、男の機嫌が悪くなる。



「……暁?」



不機嫌な男に驚いたように莉茉が目を丸くした。