「…私が絶望したのは、叶くんが茉莉を抱いた事にじゃない。」 暁の顔を見れなくて、その胸元に埋めたまま目を瞑る。 「―――私よりも、茉莉を優先した叶くんになの…。」 あの時、 気付いてしまった私の中にあった醜い感情の正体。 どろどろと沸き上がった叶くんへの激情の名前は ―――“恋愛”ではなかった。