寵愛の姫 Ⅰ【完】




「…どっか行くの?」



不審そうな視線を向ける茉莉から咄嗟に顔を伏せる事で逃れる。


「――うん、図書館に勉強しに…。」



震える身体を、爪を食い込ませて紛らわせる。




バレてはいけない。


……この誤魔化しを。



天野さんの存在を茉莉に知られる訳にはいかなかった。





―――彼女の“執着心”を向けられない為に…。