だって、 聞いてしまったら私も自分の事を話さなくてはならなくなる。 …………そんなのは嫌だから。 だから、付かず離れずなこの距離感が丁度良い。 そうすれば、きっと穏やかなこの時間は続いていく。 …………そう、思っても良いよね……? 側にある人の温もりがこんなにも愛おしいなんて知らなかった。 「……。」 少しだけ頬を緩ませた私の長い髪を夜風がさらりと靡かせる。 そんな私を、天野さんが目を細めて見ていた事を、 ーーー私は気付かなかった。