「……、」
……まだ駄目だ。
ゆっくり、
まずは確実に莉茉との距離を縮めるのが先だ。
俺は必死に欲望を押さえる。
今はまだ、
……その華奢な背中を見守るだけで良い。
焦る事はないのだと。
自分に言い聞かせて。
「……。」
「……。」
俺達の間に静かな心地良い空気が流れる。
ーーーーこんな些細な逢瀬さえも、
今はまだ、愛おしいのだから。
ふっ、馬鹿だよな。
それが、命取りになるとは知らず。
いや、
“あの人”には、何も関係なかったのかもしれない。
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