途切れる事のない人混みに目を細めて見つめる私の頬を、春風が撫でていく。 気持ち良さに、目を細める。 「……、このまま、」 この風が自分も浚ってくれれば良いのに。 願望を、言葉に乗せる。 聞く人は、誰もいないと知りながら。 「ねぇ、君1人?」 「…………。」 肩を叩かれて振り返れば、チャラそうな風貌の男が立っている。 見上げながら、私は首を傾げた。