何もかも諦めたような瞳。 ぼんやりと人の波を見つめる莉茉は、今にも消えてしまうほど儚げで…。 俺はそんな莉茉に一瞬、目を奪われる。 「…何やってんだ?」 気が付いた時には、俺は莉茉に声を掛けていた。 そんな自分に、心底、驚く。 女なんか、どうでも良い。 ………そう思っていた俺なのに。 後から思えば、この時にはもう、莉茉に惚れていたのかも知れない。