翌朝。



「んー、朝……?」




目が覚めると私は部屋にいた。


昨日はソファで2人を見ていて、その後眠くなってそのまま寝てしまった筈なのだけど。



「ワープ?」




なんてあるわけないか。




きっと誰かが運んでくれたんだ。




後でお礼を言おう。



でも誰が……?



時計の針はまだ5時半。




随分早くに起きてしまった。




眠い目を擦りながら体を起こし、おぼつかない足取りのまま、リビングに顔を出した。





キッチンでは、透が冷蔵庫の整理をしていた。



その光景は、まさに主婦そのものだ。



もうだいぶ冷蔵庫の中身は整理されているようだ。



随分前からやっていたんだろう。



早起きだなあ。まるで_____



「おじいちゃん」



「おじいちゃんじゃないから!」



透は、すかさず突っ込みを入れた。



なんて素早い。




「年を取ると早起きになるっていうから」




「まだ現役高校生だから!」




「冗談。手伝うことある?」




「今日はトーストにしようと思ってたから、今は特にすることないんだよね」




「いつもこんなに早くから起きてるの?」




「いつもはもう少し遅いんだけど、目が覚めちゃってさ」




「透は将来シェフでも目指してるの?」




「まあそんなところかな」




「そっか。じゃあ卒業したらそういう専門のところに行くの?」




「そのまま流れて大学に行くかな。ここの大学、そういう専門分野にも優れてるし」




「ここって大学もあるの?」



初耳だ。



「中等部からあるんだ。俺とほかの4人は高校からだけどね」




「えっと、なんだっけ。エ、エス……」



「エスカレーター制?」




「そう、それ」



「エスカレーター制と言っても俺達みたいに高校から入る人もいるし、全員がエスカレーター制に則ってる訳じゃないんだよ」




「悩むね」




「自分が将来何をやりたいのかが重要なんだよね。俺の場合は得意な料理を生かしたい。けど腕なんてそこら辺の主婦程度。だからちゃんとした場所に行って学ぶんだ。まだ、決めきれてないんだけどね」






「そうなんだ。透も、ちゃんと考えてるんだけ」




「まあね。でも、いろいろと大変なんだ」




「大変……」



「家族に反対されそうなんだ。まだ言ってないけど」



「もし反対されても、それが透のやりたいことなら変えちゃダメだからね」




「そうだね、そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう」