「…チャリ後ろ乗っけてやるから、そこまでは歩け」


「ありがと!」


あたしと帰るときはいつも唯翔も歩きで帰るから、自転車に乗せてくれるのは珍しい。

どうやら本当に心配してくれてるらしい。

だったら浮気なんてしないで、あたしだけを見てくれればいいのに。


「あ、ねぇ唯翔、鍵は?」

あたしはふと気がついて、唯翔に声をかけた。

保健室には先生がいなかったし、開けっぱなしはマズイんじゃ?


「あぁ、職員室にいるから、後で閉めに来るだろ」


ふぁ、と唯翔はあくびをして暗い廊下を歩いていく。


「ちょっ、待ってよ、あたし暗いところ無理なんだから…」


小走りをして唯翔に追い付いて、思いきり腕にしがみついてやった。


「重っ、重い、やべぇ腕引きちぎれる」

「ひど!あたし健康体重だし!」


ぐぐっ、とさらに腕に力を入れてしがみつくも、あっさりと唯翔の手によって外されてしまった。