「こんにちはー、洗濯部です!」


日向先輩の声がグラウンドに響く。私はラグビー部の洗濯物が入ったかごを抱えてその後ろを歩きながら、さらに後ろから追いかけて来る笑い声に耐えていた。


「ぶっ……くく、ふふっ」

「……」

「んふふっ」

「……あの、紫苑先輩」


そんなに笑わないでください、と振り向けば紫苑先輩は口元を手で押さえて肩を震わせていた。

空は厚い雲が覆っているというのに、今日も紫苑先輩は日傘を差してサングラスをかけて、日焼け対策ばっちりである。


「ごめ、……ふふっ」


謝る気があるのか無いのか。笑いが止まらないその様子にじっとりと視線を送ると、紫苑先輩は軽く咳払いをして息を整えた。


「だって、なんか浮かない顔してるなあと思って聞いてみれば、バスケットボール顔面キャッチって……ぶくく」

「そういう反応がさらに私の浮かない顔を生むんですよ……」


だから言いたくなかったのに、と目を逸らす。