私たちと離れて窓際にいる真央くんは、パイプ椅子の上で三角座りをしながら、膝の上で器用にスケッチブックを広げていた。

シャッシャッと鉛筆が音を立てている。鉛筆を持つ手は左のようだ。

明らかな拒絶をされたあとだから、その瞳がこちらを向いていないことにほっとする。スケッチブックへ熱視線を送る真央くんの姿に息を吐いて、私はゆっくりと視線を戻した。



「そういうわけで葵、分かんないこととかあったら、遠慮せず聞いてくれ!」

「え!? う、えと、……はい」

「初歩的なことでも何でもいいからさ、どーんと来いよ!」


そう言って日向先輩は目尻に皺を作る。仲間云々の話はここに行き着いたらしい。紫苑先輩は飽きたみたいで、枝毛探しをしていた。

人懐こい笑顔を向けられて落ち着かないような気持ちになって、視線をオレンジジュースの入ったグラスに落とす。が、そのあとすぐに一番聞きたかったことを思い出して、パッと顔を上げた。


「あ、あの、じゃあ、早速なんですけど」

「おう、何だ!?」


嬉しそうに身を乗り出してくる日向先輩。その生き生きとした表情が眩しい。

私はその眩しさに目を細めながら、ずっと気になっていたことを口にした。









「“洗濯部”って何ですか!?」




ぽかん、と。

私の問いかけに、日向先輩は口を開けて固まった。