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結局、紫苑先輩の日傘を二人でありがたくお借りして、あまり雨に濡れることなく五号館まで戻って来た。

靴を履き替えて階段を上る。ちなみに廊下には日向先輩と紫苑先輩が落としていったと思われる水滴のあとが、二つの筋になって残っていた。

二階の廊下を、一番奥の教室までペタペタと歩く。真央くんが並べた石の境界線を乗り越えて、ドアに手を掛けた。


「紫苑先輩、傘ありがとうございましたー……」


ガラッとドアを開けながら、お礼を言う。


――私はそこで見た光景に、開いた口が塞がらなかった。











「わあああああああああ！？」




絶叫した私を、うるさそうに真央くんが見下ろす。

でもそんなことはもう、全然気にならなかった。


それよりも、だ。