野菜とかお肉とか
詰まった袋を握りしめていると
野次馬の中に紛れ込む
1人の人に目がいった
鉛色の空の下
佇んでいる
黒髪の男性
眼鏡をかけているようだ
暫く男性は
『keep out』と書かれた
黄色いテープを見つめていたが
やがて
興味を失ったかのように
人混みに踵を返して
どこかへ行ってしまった
離れていたから
よくは見えていないけど
何故だろう?
あたしには
男性の周りだけ
空気が違うように見えた
まるで―――
「事件が起こるのを
知っていた……?」
あたしの呟きは
野次馬の声に消えた
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…