“建国の大火”と呼ばれるこの惨劇を二度と繰り返さないために、ラズラエザの歴代の王たちはシエラ大王の記憶を語り継いでいる。

もちろん、ジェラール王にも。



(父様は“建国の大火”の記憶を知っていながら、魔法を武器として使ったということになるのよね)


『王となるものは、一国を滅せるほどの魔力を持っている。だからこそ、その膨大な魔力をどう使うかを真剣に考えなさい』


いずれ王となるステラに、ジェラール王は特に厳しく言っていた。


そんなジェラール王が、殺戮のために魔力を使うとは思えない。

だが、この疑いも明日になればすぐにわかるだろう。


ステラは布団に包まるようにして眠りについた。