「もちろん我々だけではそれが魔法によるものなのかさえも不確かな状態です。ゆえに、ステラ様には治療の他に原因究明もして頂きたいのです。明日、ディゼル王にステラ様を紹介いたしますので、その時に病が魔法によるものなのかをお確かめください」

「……」

ステラは何も言えず、そっと腰を下ろした。



「では、何かございましたら近くの侍女におっしゃってください」

「あっ、あの……」

部屋を出ようとするレオをとっさに呼び止めた。

ずっと気になっていたことなのに、いざ言おうとすると、のどに声がつっかえてなかなか出てこない。


「その…右目も……この度の戦で?」


そう聞くとレオはステラに優しい目を向けた。


「いいえ。これは幼い頃からこうなので、お気になさらず」

「あ……はい」


レオは笑顔で答えたが、その表情の奥で何かとても悲しいものがあるような気がして、それ以上何も聞くことが出来なかった。



レオが出ていくと、急に体の力が抜けた。

「ふう……」


一日分の疲れが一気にあふれ、そのまま倒れこむようにしてベッドに横になった。



(ラズラエザは戦に魔法を持ち込んでいたのだろうか)

ラズラエザは1300年前の建国以来、魔法による生命の操作は固く禁じられている。

建国する際に起こった戦で魔法を武器にしたことにより、尋常では起こりえない災いが一つの島にいた全ての生命を消し去ったのであった。