「ではお話いたします。しかし、このことは王宮の中でも一部の者しか知らないことですので、他言は無用でお願いします」
「そんな極秘なことを……?」
王室の一部しか知らないことを部外者に、ましてや敵国だった者に教えていいはずがない。
「ヴェルズの国王陛下―ディゼル王は半年前に戦で負傷されました。ステラ様にはその治療にあたってもらいたいのです。ステラ様はラズラエザにて医術を研究しておられたそうで。」
「医術の研究といっても、母の傍でその姿を見ていただけですし、それに、怪我の治療なら私でなくとも王宮の医官に頼めば良いのでは?」
ステラが主に研究していたのは医術といっても魔法を使った呪医術だった。
そもそも王の治療は王室の医官に頼むのが普通だ。
わざわざ他国から呼んでまで頼むような仕事とは思えない。
「ディゼル王は背後から矢で射抜かれました。傷は治りましたが、矢先に毒が塗られていたようで、それ以来原因不明の病に冒されているのです。名医と呼ばれる名医にその病を治療させても、皆、口を揃えて見たことがない症状の一言でした。なので、私はこれがラズラエザの魔法によるものだと考えたのです」
「ラズラエザが放った矢の先に魔法による毒が塗られていて、その魔法によってディゼル王は病に冒されている……と?」
「ええ」
話の流れをようやく理解したステラは、勢いよく椅子から立ち上がった。
「そんなはずはありません!ラズラエザでは魔法で生死を操作することは固く禁じられているのです!そんなはずは……」

