「かおちゃぁん♪大好きだよぉぉ。」
「ちょっと智也……それアタシじゃないし!!」
哀れ「大仏どん」は智也に抱かれて(人形なんだから当たり前だが)変わらず微笑んでいる。
智也だけが一気飲みしてしまったらしく、オレンジジュースですぐに覚ました俺達とは違って完全に酔っ払い。
「ちゅーーーーーーーーーっ」
「智也!!香織そんな変な顔じゃないし!!!」
なんて言ってもムダ。
「どうする??」
「冷めるまで待つしかないじゃん?」
散々「大仏さん」と愛の契りを交わした後、智也はそのまま寝てしまった。
香織は隣で心配そうにしている。
「バカだけどさ……やっぱり好きなんだよね?」
香織の気持ちがすげーわかる。
好きになると、いい所、悪い所、全部愛しいんだよな。
……いい機会だから香織にも言っておくか。
「香織?アタシね、卒業したら……パリに行くんだ。」
「何それ??和樹君はどうなるの??」
「親が決めた事だからしょうがないじゃん。」
「そうだけど……でもっっ。そんなの悲しいよ」
智也の寝息が響く中。
俺はただ黙るしかなかった。



