和樹のぬくもりが幸せを運ぶ。
ここは俺の大切な居場所。
「姫奈……手出してみ?」
「何??急に。」
おずおずと手を差し出すと
するっ……!?
俺の左手薬指に何かがおさまった。
「こんなんでゴメンな?いつかちゃんとしたの買ってやるから!」
それは……たぶん昼間みやげ物屋で買ったんであろう指輪で。
「親に買うお土産代使っちゃったし」
確かに。その指輪はキラキラ光っていて近所の手頃なアクセサリー屋に売ってるものより高級そうだった。
「ありがとっ!!和樹」
飛びつくと……そのままよろけて和樹に体ごと倒れこんでしまう。
ほんわかして気持ちいい。
それは、和樹が頭をなでているから。
「この色いいだろ?姫奈にぴったりな澄んだ石が入っててさ……俺たち、ずっと、一緒にいような」
そうだね、と言ってしまえたらどれだけ楽なんだろう。
大人の事情に振り回されるしかない俺。
和樹との別れを想像するだけで壊れてしまいそうで……気が付くと体が震えてそんな俺をそっと優しく抱きしめくれる。
「姫奈?何かあったんだろ?ずっと態度が変だった。」
「ゴメン……」
「話してくれるよね??」
とうとう、この時が来てしまった。



