それから遊園地までの日々はそれなりに平和に過ぎて行った。
奈緒は俺と和樹が付き合った事を知ると……自然に寄り付かなくなっていったし。
たまに上履きが消えたりはするけど……そんな小さな事で怒る俺じゃない。
消えるたび必死に探してくれるのは和樹だし。
和樹の眼帯も外れ、アイツはこれまで通りサッカーに明け暮れる日々。
俺も相変わらず苦手なお稽古事に通わされる。
母親の手作りという淡い妖精みたいなブルーのドレスに身を包みピアノの発表会もこなした。
オンナらしさには一向に慣れる気配はない。
ピアノに必要なクラシック音楽以外はオトコの歌ばかりを聞く。
今のお気に入りはRuvieって言うバンド。
ボーカルの赤い髪した手鞠は最高にカッコいいし、歌唱力も曲もイケてるバンド。
俺が普通にオトコだったら……バンドやりたかったな。
壁のポスターを眺めながら想いに浸っていると……



