家の奥から出て来るアズ父。
「お帰り~ねぇ大変なんだよ。あずみちゃん具合が悪いみたいなんだ」
その歩みは俺の顔をみた瞬間止まる。
「や、君はっ……」
「出て行ってくれへん?」
アズ母がきっぱりと言い放つ。
「誤解だよ~僕は愛してるよ?和子の事」
「全部聞いたで?どこでも好きな所にいったらええやん。あんたに食わせる飯はもう無いでな……出て行きっ」
「和ちゃん……そんなぁ」
アズ父を追い出しピシャリ!と玄関の鍵をかけると二人でアズの部屋へ急ぐ。
「大丈夫??アズ??」
「あずみっ、おかゆ作ったからはよ食べ!」
熱は更に上がったのか朦朧としているようだ。
「あれ~姫奈、うちもうダメかもしれへん。おかんの幻覚が見えるわ」
アズ、それは幻覚じゃねーよ?
これから先アズを愛してくれるお母さん。
「早く熱下げるんだよ!」
アズの頭をくしゃっと撫でると俺は家に帰った。
もう大丈夫だろう。
「姫ちゃん~どしたの?服が汗で張り付いてる!!!」
「いっぱい走ったからね」
「もぉ……オンナの子なんだからっ」
愛情の形はそれぞれだけど、俺もこうして愛されてるぜ?



