「姫奈……?」
突然の俺の低い声にアズは戸惑いを隠せない様子。
「なんやねん?その声!!……それに俺って」
「黙ってて悪かったな?俺が本当の姫奈。ま、見せるのはアズが初めてなんだけど」
アニメ声から一転……低く呟く俺の声。
合唱の授業ではアルトだった。でもホントは男子のテノールぐらい余裕で出せる俺。
いつだったか夢奈さんに高い声は努力で出せるけど、低域は生まれつき決まってるって聞いた時すげー嬉しかった。
俺にもあったじゃんって。オトコな部分が!
「ほんまに姫奈なんやんなぁ~。ギャップあり過ぎ!!!」
「こんな俺、あの母親が認めると思う?」
「確かに、失神もんやな」
俺はただ……アズなら大丈夫とは思ってたけど、笑ってくれたのが嬉しくて。
「引かれなくて良かったぁ」
「って姫奈に戻ってるやん。変わり身早っ!!」
「慣れてるからね?」



