【第4章】



「なんでこんな日に限って遅れるのよ!!」



「だって……これ渡すんだろ?」



階段を駆け上がる二人の男女……と呼ぶにはまだ幼い二人。



そんな二人は何故か、栄光の縦縞のはっぴを着ている。



人並みをすり抜けて矢のように走り去っていく



背番号「6」と「42」



ちなみに「42」で走っている方がオンナの子。



あの若さと可愛さで○柳ファンとは……将来は大丈夫だろうか??



と、ただ見かけただけ……な私でも心配になってしまう。



オトコの子は



「○本のアニキ!!俺にもっと走る力を下さい!!」



そう言っているので普通に憧れているんだと思われる。



しかし……ここは国際線の空港。



日本人はおろか海外の方々まで驚きの目で見ていることにまだ彼らは気付いていないだろう。



「Oh!ハッピ!?」



興奮した陽気なアメリカンの声も耳に入らないのか奥へと一心不乱。



ぱんぱんに膨らんだリュックを背負い、何故かはみ出しているメガホン(もちろん縦縞)なんかも見えるのだか……。



有名な選手でも帰国するのだろうか??



それとも見送りとか??



おっと、これ以上見ていると時間に遅れてしまう。



通りすがりのオトコは名残惜しそうにタバコの火を消すと中国行きのゲートをくぐって去っていった。