そう言い床に落ちたカッターナイフを握りしめる。


そして、躊躇なくそれを空君の胸に突き立てたのだ。


「ねぇ、もっとちゃんと見せて」


その傷口を見たくて、あたしは空君の服を脱がせた。


空君もあたしの服を脱がせていく。


お互い全裸になり、体を絡ませながらナイフを突き立てる。


痛みと快感で、目の前が真っ白になってしまいそうだ。


イジメや嘘や、今までの汚い自分が一気にさらけ出されて行く。


今まで他人に見せたことのない部分まで、すべてあらわになって行く。


血にまみれながらあたしは嘘いつわりのない自分に、重荷が取れて行くのを感じていた。


あぁ……。


みんな、見て。


これが本当のあたしの姿なの。


ずっとずっと嘘をついてきた。


ずっとずっと演技をしてきた。


それも今日で終わり。


ひなた、初、つぐみ……結香。


本当は大好きだったよ。


クラスメートみんなの顔を思い出し、笑顔になる。


あたしと空君はようやく真っ白な本当の姿を見せる事ができた。


そしてそれは最初で最後になったのだった。






END