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翔真が買ってきてくれたローファーはあたしにピッタリのサイズだった。


驚いて翔真を見ると「帰りの下駄箱でサイズを確認したから」と、言われた。


本当に、翔真はいつでも人の事をよく見ている。


勉強ばかりしているように見えるけれど、本当はすごく周囲に気を配っているのかもしれない。


「今日は無理に押しかけたから、勉強を教えてあげるよ」


そう言い、翔真は教科書を取り出した。


「はぁ? 勉強なんてしないし」


あたしがそう言うと、「そうだろうね」と、頷く翔真。


「だけど、もうすぐテストがあってが赤点を取るかもしれないという事にしておけば、僕は家庭教師としてこの家にいても怒られないんじゃないか?」


「え? ……あぁ、そういうことか」


あたしは少し考えた後、頷いた。


お母さんへの言い訳を考えてくれたのだ。


それなら多少は許してもらえるかもしれない。


「さぁ、これで役者と舞台は整った。明日どんなものが送られてくるか楽しみだな」


翔真はそう言い、ニヤリと笑ったのだった。