「君たちが、一番最初の架け橋になるのだろう。立場も身分も確かにあるのかもしれない。でも、それらを取り払った先に本質があるということを証明する、架け橋に。私も、できることをするよ。治安も落ち着いてきた。そろそろ、価値観の改革に乗り出さないとね。」
「それならばお父様!」

 うっすらと瞳に涙をためたジアが国王に駆け寄った。

「アスピリオと、友好条約を結びたいです。」
「アスピリオ?一体どこの国だい?」
「私がこの目で見て、感じたアスピリオの話を聞いてください。」
「もちろんだよ。」

 アスピリオで見たものを生き生きとした表情で話し出すジア。そんなジアを見つめるキースの横に、王妃がやってきた。

「…ジアを連れて帰ってきてくれてありがとう。キースくん。」
「無事でよかったです。アスピリオでは、すごく自由に過ごしていたみたいです。」
「そう。まぁでも、私はジアのことはそんなに心配してなかったのよ。あの子、自分で龍の背に乗ったでしょう?あなたの隣に立つためにね。でも、帰ってきた二人の顔見て安心したわ。ようやく同じところに立つのね。」
「立てていますか?」
「ええ。あの子があんな風にあの人に話すの、今が初めてかもしれないわ。なんだかんだ言って、自信がなかったりもするのよ、きっと。」
「…だとしたら、私は、ジアが自信をもって生きていけるように、支えたいです。」
「ええ。ぜひそうしてあげてね。そして、ジアがあなたの支えになるわ。」
「…それはもう、すでに今もです。」

 キースは笑みを浮かべる。それを見て、王妃はもっと優しく微笑んだ。