「でも・・・、不思議なの。こんな風に傷を受けても。それでも今は、一人じゃないのよ。志多良がいて、多々良がいて・・・。白玖がいて。そして牛鬼も増えた」

「蒼子さま」

「一人じゃない・・・」



それがどれほど救われるか。




「蒼子さま・・・。俺は、ずっと蒼子さまのお側に」

「ふふ、ありがとう」




蒼子がほほ笑む。
その笑顔を見て牛鬼はホッと笑った。


その様子を白玖は廊下で見ていた。




「・・・そいつには、笑うのか」




ポツリと呟いた声は、誰にも届かない。
白玖はその場を後にした。